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PNC TJ1214 95-003, 104 Pages, 1995/03
本研究では、ウランの非晶質固相(UO/SUB2・xH/SUB2/O)の結晶性固相(UO/SUB2(cr))への変遷過程を短期的ウラン液相濃度変化試験および加速試験により実験的に求めるとともに、得られた結果を解析し、メカニズムの推定に基づく速度式、速度定数の取得を行った。以下に得られた結果を示す。(1)短期的変化試験でウラン液相濃度は、ウラン非晶質生成直後では、2x10/SUP-5mol/lとなり、試験開始24時間では5x10/SUP-93x10/SUP-8mol/lとなった。(2)加速試験より、加熱保持により結晶化が進行したが、著しい結晶化の進行で沈澱固相にイオン交換反応由来と見られるpH減少が生じた。結晶化度約50%の試験系では、液相ウラン濃度が短期的変化試験と同等となった。(3)8種類の固相変遷のモデルの検討を行い、このうち汎用性が高いと考えられる2種類のモデル(U(OH)SUB4(aq)を考慮したUO/SUP2(am)UO/SUB2(cr),UO/SUB2(am)UO/SUB2(s,cr)UO/SUB2(cr)のモデル)を作成した。(4)速度式、速度定数の算出手順の検討を行い、作成したモデルに基づき実験データ解析(短期および長期試験)を行なった。UO/SUB2(am)UO/SUB2(s,cr)UO/SUB2(cr)のモデルを用いた場合は、測定された固相の変遷及びウラン濃度の挙動を再現することができた。(5)固相の変遷に及ぼす放射線の影響度に関する調査を行った結果、分子動力学法によるモデル解析が候補として考えられることが分かった。
本田 明; 鶴留 浩二; 井上 邦博*; 小畑 政道*; 石川 博久; 佐々木 憲明
PNC TN8410 92-139, 105 Pages, 1992/05
高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の地層処分において、人工バリアとしてオーバーパックの使用が考えられており、候補材料の挙動評価のための研究を実施中である。本資料は、オーバーパック候補材料の選定と候補材料のひとつである炭素鋼製のオーバーパックの現時点での長期寿命評価についてまとめたものである。オーバーパック候補材料としては、処分環境での耐食性等の検討から、研究の順序として炭素鋼を第一候補材料とし、銅、チタン、ニッケル基合金、高ニッケル合金も候補材料として選定した。炭素鋼オーバーパックの寿命評価は、酸素・水・バクテリアによる腐食量を評価して合算する方法を用いて行った。酸素については、処分孔に残留しうる酸素量を求め酸素富化による加速試験データから浸食量を評価した。水については、脱気条件での腐食速度を1000年間外挿して評価した。バクテリアについては、硫酸塩還元菌の寄与を評価した。これらの評価結果から、現時点での炭素鋼オーバーパックの腐食評価として、32mm/1000年とした。
斉藤 誠美; 山田 一夫; 北野 光昭; 黒羽 光彦; 清宮 弘
PNC TN8410 92-056, 43 Pages, 1992/03
高レベル放射性廃液ガラス固化体の放射線に対する長期耐久性について知見を得るため、原研動燃共同研究によるアルファ加速試験を実施した。再処理工場の高レベル放射性廃液を使用してSUP244/Cmを添加したガラス固化体を作製し、アルファ線による放射線の影響を加速し、所定の経過年数に相当したガラス固化体の物性評価試験を行った。試験に使用したSUP244/Cm添加実ガラス固化体の成分分析の結果、SUP244/Cmの濃度及びガラス組成はほぼ目標どおりであることが確認できた。この試料を使用して所定の経過年数に相当したガラス固化体の物性評価試験を行った。光学顕微鏡及びEPMA観察の結果、加速年時で約1万1千年相当時においてもクラックの発生は見られなかった。また、約6千年及び1万1千年相当時における浸出試験により得られた浸出率はこれまで高レベル放射性物質研究施設において同条件で行った浸出試験結果と同オーダの値であった。これらの結果から、高レベル放射性廃液ガラス固化体は約1万1千年相当時においてもガラス固化体の物性に著しい変化は見られず、放射線に対して長期間にわたり耐久性を有することが確認できた。
古屋 廣高*; 佐藤 正知*
PNC TJ168 81-01, 60 Pages, 1981/03
高レベル放射性廃液固化体内での原子核崩壊によって生じる固化体の照射効果については70年代半ばになって欧米各国で研究が開始され,現在,急速にデータが蓄積されつつある現況である。本報告では,最新の文献を含めこれらを調査し検討した。照射効果については次の7点が検討の対象とされている,1)照射による体積変化,2)蓄積エネルギーとその放出挙動,3)浸出率への影響,4)結晶相の非晶質化と割れの問題,5)崩壊によるヘリウム蓄積と応力発生,6)機械的性質への影響,7)崩壊による原子価変化と化学的特性への影響。各種崩壊による照射効果への寄与については,崩壊からの損傷形成による効果がその大半を占めることが明らかになった。そこで各国とも,短半減期崩壊核種を固化体に溶解させ内部照射する,所謂,加速試験を最も信頼できる方法として採用している。この方法は,強い線と線を放出する為,代替法も検討され重イオン照射,中性子照射,核分裂破片による方法など検討されている。加速試験による上記7点について各国で実験的に検討した結果につき以下に示す。1)については最大1%程度,2)についてはデータに差もあるが蓄積エネルギーの放出は,ゆるやかで温度の急上昇などの問題はない,3)浸出率のデータは誤差をともなうが,照射試料と非照射試料で特に差は認められないが,最大2倍程度のデータもある,4)結晶化させた固化体については析出結晶相によって割れが生じた,この点については今後とも検討の必要があると思われる,5)については生成ヘリウムは拡散係数も小さく,ほぼ固化体内に蓄積される,固化体内での圧力や,万一の温度上昇などでプレナム内にヘリウムが放出したときの圧力等計算された。6)破壊後の粒度分布測定がなされ,照射,非照射試料について差は認められなかった。7)現在までほとんど研究されていないが,問題となり得ることはないと考えられている。以上が現在までの結果の要約であるが,照射効果の研究はまだ開始されたばかりであり,今後の研究の進展が期待される。特に我が国においては固化体の照射効果についての実験的検討は皆無である。加速試験を行なう場合,集積線量が飽和値に達するまで照射開始後2年程度は必要であり,この方面での早急な対策が望まれる。(2000.12.15 Z -- T)